「ある朝、会社に出かけようと革靴を見たら白い粉のようなものがうっすらと表面を覆っていた」という経験をしたことはありませんか。
雑巾などで拭き取ればすぐにきれいに消えるのであまり気にしていない人も多いかもしれませんが、この白い粉のようなものの正体は一体なんなのでしょうか。
そして、白い粉が出ないようにするにはどうしたら良いのでしょうか。
革靴の表面に付く白い汚れは「スピュー」と呼ばれるものです。
一見するとカビのように見え、実際に勘違いする人も多いのですが、スピューとカビはまったく別のものです。
スピューは雨に濡れた革靴が乾いた後に発生することが多いですが、革靴だけに見られるものではなく、ハンドバッグやコートなどレザーを使った製品ならどんなものにも見られます。
革靴に見られるスピューは、革靴の中に浸透していた塩分が水に濡れて革の表面に浮き出てくることで起こります。
このような塩分由来のスピューのことを「塩スピュー」と呼びます。
つまり、革靴が白くなってしまう主な原因は塩分なのです。
塩スピューは水に溶けやすい性質を持っているので、革靴に塩スピューが発生しても水分を含んだ布などで拭いてあげればきれいに消えてしまいます。
革靴の中にどうして塩分があるのか不思議に思う人もいるでしょう。
実は革製品の材料となる革はなめす工程で防腐剤として塩分を含んだ薬剤を使うのが一般的です。
この時の塩分がわずかに革靴の内部に残留することがあるため、たとえ新品の革靴であってもスピューが見られることがあります。
また、新品当時は塩スピューが見られなかった革靴であっても、長年履き続けている間に汗に含まれる塩分が革靴の内部に徐々に蓄積し、塩分の濃度が一定以上になると雨に濡れて表面に浮き上がってくるのです。
前述の通り、スピューは水に溶ける性質があるため、発生しても水を含んだ布などで拭けばきれいに取り除くことができます。
しかし、スピューが出てしまった革靴はすでに内部にかなりの塩分が残留している状態なので、一度きれいにしてもまたすぐに再発してしまいます。
何度も繰り返し発生するので、手入れが面倒だからと放置してしまうと、革靴に白い色が沈着して変色してしまう場合や雑菌が急激に増えてカビの温床になってしまうことがあるので注意しなければなりません。
塩スピューは一度出てしまうと何度も繰り返してしまうので、予防がとても重要になります。
簡単にできる予防策としては、革靴を履く時は必ず靴下を履くようにするということです。
素足に直接靴を履くスタイルがおしゃれだと言われることもありますが、素足だと汗が直接革靴の中に浸透してしまうので、できる限り靴下を履いて汗をカットすることが重要です。
また、毎日同じ革靴を履き続けることを避けて、時々は風通しの良い場所で陰干しすると革靴を守ることができるでしょう。
すでにスピューが出てしまっているなら、革靴を水で丸洗いして内部の塩分や雑菌を一度きれいに洗い流してしまうのも一つの方法です。
革靴に付いた大きなゴミをブラシで落としたら、30分ほどぬるま湯の中に革靴を浸し、台所用洗剤やボディーソープなどを使ってきれいに洗いましょう。
洗った後は十分に注ぎを行い、陰干しして乾燥させます。
この時、型崩れが起きないように革靴の中に新聞紙を丸めて詰めておくようにします。
ただし、スエードやヌバックなどは水洗いに適さないので、専門の業者にお願いしたほうが安心です。
革靴が白くなってしまう原因のほとんどは塩分によるものです。
放置してしまうと変色やカビの原因にもなってしまうので、できるだけ早く対処することが重要になります。
複数の革靴をローテンションすることや靴下を必ず履くようにするなどしてスピューを防ぎましょう。
お気に入りの革靴を少しでも長く履き続けたいなら、専門業者に丸洗いしてもらうのもおすすめです。
以上、革靴が白くなる原因と対処法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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