タンニン鞣しとクロム鞣しは、皮革を加工する際の2つの主要な方法です。
これらの鞣し方の違いを理解するには、それぞれのプロセスとその結果となる革の特性を深く掘り下げて考察する必要があります。
タンニン鞣し
タンニン鞣しは、古くから使われている自然由来の方法で、植物の渋(タンニン)を使用して革をなめす手法です。
この方法によってなめされた革は「ベジタブルタンニン鞣し革」とも呼ばれます。
見分け方の特徴
- 色合いとエイジング: タンニン鞣し革は、時間が経つにつれて変化する「エイジング」が特徴です。新品の状態では比較的明るい茶色をしており、使い込むほどに深みのある色合いに変化していきます。これはパティナとして知られ、使い込むことで革表面に生じる光沢や色の変化を指します。
- 質感と柔軟性: タンニン鞣し革は、比較的堅牢で硬く、その質感はしっかりしており、自然な風合いが特徴です。初めは硬いが、時間と共に柔軟性が増していきます。
- 水分への反応: タンニン鞣し革は水に反応しやすく、水濡れによるシミができやすいです。また、水分と接触すると硬化しやすい傾向があります。
- 環境への優しさ: タンニン鞣しは、使用される植物由来成分のため環境に対してクロム鞣しよりも優しいとされていますが、時間がかかるためエネルギー消費が大きくなる場合もあります。
- 匂い: 植物性の成分を使用しているため、独特の植物や木のような自然な匂いがします。
クロム鞣し
クロム鞣しは、塩化クロムなどの化学物質を使用して行われる比較的近代的な鞣し方法です。
この方法で鞣された革は「クロム鞣し革」と呼ばれます。
見分け方の特徴
- 色合いと一貫性: クロム鞣し革は色の一貫性があり、鮮やかな色で染色されていることが多いです。タンニン鞣しに比べてエイジングによる色の変化は少なく、原色の保持が良好です。
- 質感と柔軟性: クロム鞣し革は柔らかくて伸縮性があります。初めから手触りが柔らかく、曲げたり形を変えたりしやすいです。
- 水分への耐性: クロム鞣し革は水に強い特性を持っており、水に濡れてもシミになりにくく、形状が変わりにくいです。
- 環境への影響: クロム鞣しは化学物質を使用しているため、その処理には環境への配慮が必要です。未処理の廃液が環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 匂い: 化学物質を使用しているため、タンニン鞣しに比べて化学的な匂いがすることがあります。
実際の見分け方

- 燃やすテスト: 小さな革のサンプルを安全に燃やすと、タンニン鞣し革は木や葉を燃やしたときのような自然な匂いがしますが、クロム鞣し革は化学的な匂いがすることがあります。
- 水のテスト: 水滴を革に落としてみると、タンニン鞣し革は水を吸い込みやすく、濃いシミになることがあります。クロム鞣し革は水をはじきやすい傾向があります。
- 柔軟性のチェック: 新品の状態で革を曲げてみると、クロム鞣し革は柔軟で簡単に曲がりますが、タンニン鞣し革はより堅牢で硬いです。
これらの基準に基づいて、見た目や感触、匂いなどから判断することができます。
しかし、専門的な知識がないと判断が難しい場合もあります。
その場合は、革製品の製造元に問い合わせるか、専門のレザークラフトショップでアドバイスを求めるのが良いでしょう。
以上、タンニン鞣しとクロム鞣しの見分け方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。